脳若ステーションについて

脳若ステーションにお邪魔しました

小規模多機能型居宅介護施設 ファボール鴇(トキ)様 (三重県名張市)

中山 登貴(とき)さん

中山 登貴さん

★「ダットサン!」

先日、三重県名張市にある小規模多機能型居宅施設「ファボール鴇」さんを訪問した時に、認知症重度の男性が発した言葉です。自宅ではほとんど喋る事がないという事でしたが昔のオート三輪の写真を見て、そう叫んだのです。

私は「ダットサン」を知りません。だから、どうやって運転していたのか、乗り心地はどうだったのか興味津々で話を聞きました。

この施設の代表である中山登貴さんは、『脳若トレーニング』でその人の「生活歴」がわかるとおっしゃいました。

「ご利用者とケアする側が同じ土俵で会話できる。要介護だから、というのを忘れてしまうくらい。」

相手を理解する、というのは言葉で言うほど簡単なものではありません。理解してるつもり、が多いし自分の尺度で見てしまうからです。

相手と私は同じだけど違う、こんな折に改めて感じるものだと思いました。
相互依存の関係です。ひとりでは生きていけない、寄り添うべきものです。


小規模多機能型居宅介護施設 ファボール鴇(トキ)のみなさん

★箪笥

ご自分も要介護で足が不自由、ご主人は重度の認知症というご夫婦が週に3回、施設に通っていらっしゃいます。
その奥様と、おしゃべりする機会がありました。

「前の晩にね、明日着ていく洋服を決めるの。主人のもよ。それは結婚してからずっとなの。箪笥の引き出しからひとつひとつ、丁寧に選んで決める事をもう随分長くやってきたわ。元気に外へ出られる間はこれをやらなくちゃね。楽しみでもあるのよ」

淡々と語られる言葉は長きにわたり、堅実にそして丁寧に生活を営んでこられた証拠だと感じます。

家族の為に尽くし、最後までそれを誇りとする「女の強さ」さえ感じます。

以前話題にした、「ダットサン!」と叫んだのが、この方のご主人でいらっしゃいます。

そのとき、奥様はそばで静かに笑っていらっしゃった。これが、幸せというものではないでしょうか。

中山 登貴さん

★「要介護4の方でも『脳若』できますよ」

小規模多機能型居宅介護施設「ファボール鴇(トキ)」、代表の中山登貴(とき)さんがそうキッパリ断言されたのには正直、驚きました。

中山さんは、施設内で行うプログラムに、もっと楽しいものはないか?と探していたところにネット検索で『脳若トレーニング』を見つけ、すぐに「導入事例セミナー」に参加されたそうです。

最初は、「飽きないプログラムがこんだけあるからいいか!」くらいの気持ちだったと。

「やってみないとわからないかも知れませんが、『脳若』は介護職の考え方の幅を広げる、不思議なものなんです。例えば、介護職の者って「この方は要介護だから、これは出来てこれは出来ない」と、最初からイメージしがち。でも、『脳若』やるでしょ、そうすると「えっ!そうなの?」っていう、その方の「生活歴」がすごく見えてくるんです。コミュニケーションが、対等になるようにカリキュラムが作ってあるからなんですよ! 私も始めてからそれに気づきました。そして驚きました、光岡さん。それわかっていて、これ作ったの?って(笑)。回想法ひとつとっても今までやっていた回想法とは、内容が全く違うものでしたね。こちらも知らない事ばかりがカリキュラムに出てきて、一緒になって驚いたり、勉強になったりする。こちらのテーブルに座ってある認知症重度の男性は、本来なら別のテーブルに座っていただくことになるんですけど、でもね、このプログラム、参加できるんです。家では全く喋らないというのに、この時間はどんどん喋る。すごいのよ。びっくりですよ!!」

レポートを担当する私(光岡)自身、今回の訪問はとても勉強になりましたし、逆に元気をいただきました。

地域のチカラを活かしながら、田園の中の鴇(トキ)のように、お年寄りも最後まで地域の中で生きていける町づくりが、わたしにもしっかりとイメージできました。